2025学校教育の今 全国からイエナの仲間が仙台に集合 ほんの木からも 3人が参加!

第10回日本イエナプラン教育全国大会が開催されました。

画一化された教育から、違いを力に変える教育へ。広がり始めたイエナプランの動きと公教育への取り組みの現状を見る。すべては現場の小さな一歩から。1 つの具体的な実践から始まる。大会から見えた〝これからの教育〞を、希望とともに報告します。

分科会のPROGRAM

  1. 「みんなが主役の学校」をつくる ー学びの多様化学校とイエナプラン
    上田 椋也
    (文部科学省総合教育政策局・政策課企画調整係長)
  2. 多様性と包摂性があたりまえにある世界を子どもと大人でつくる ー福島県磐梯町の取組
    本川 良
    福島県磐梯町教育再デザインセンター地域プロジェクトマネージャー・教育プロジェクトマネージャー)
    中川 綾
    (福島県磐梯町教育委員会教育長)※オンライン参加
  3. イエナプラン×地域 コミスクを起点に実践する中で見えた変化と面白さ
    石井 七実
    (元島根県益田市社会教育コーディネーター・現イエナプラン アドバイザー)
  4. イエナプラン 公立学校でもここまで出来る!二人の仕掛人が対談で語る
    上田 椋也
    (文部科学省総合教育政策局・政策課企画調整係長)
    長沼 豊
    (板橋区教育委員会教育長・大日向中学校 初代校長)
  5. 学びの場は無限大「地域とともに多様な学びを実践する」
    安部 雅昭
    (学びの多様化学校 元校長・星槎国際高等学校 副校長)
  6. 学びの多様化学校「ろりぽっぷ小学校での子どもたちの育ちと学び」
    山﨑 慧美(ろりぽっぷ小学校 下学年リーダー)
    齋藤 美波(ろりぽっぷ小学校 上学年リーダー)
    阿部 友太郎(ろりぽっぷスクール 中等部担任)

社会教育で紡ぐ共同体

私が参加した分科会の話の中で、「社会教育コーディネーター」という仕事を知りました。「社会教育」とは学校教育と家庭教育を除いた教育活働で趣味や教養、職業に役立つ知識や体育、レクリエーションなど多岐に渡ります。「コミュニティスクール」というのは、学校と地域住民が力を合わせて学校の運営に取り組むことができる仕組みです。社会教育コーディネーターはコミュニティスクールと地域の方々を繋ぐ翻訳者のような仕事だとのことです。学校の先生だけでなく保護者や地域の人も学校に関わることによって子どもたちの学びの可能性が広がり、地域の方々はその町で「共に生きる」共同体となっていくのです。
学校や地域にどんなニーズがあってどのような活動をしたのか、その活動によって何が変わってきたのか、など詳しい話を伺うことができました。
ウェルビーイングという言葉はよく聞かれるようになりましたが、自分が生きていくコミュニティがどんな場であったら楽しいだろうか、どんな関わり方ができたら心地よいだろうか?
自分の得意なことを誰かが必要としてくれる社会。そんな「共に生きる」共同体をつくっていく仕事も魅力的で面白そうだと感じました。(永田聡子)

さまざまな学びの場づくり

ろりぽっぷ小学校には一部屋ごとに壁で区切られた教室はなく、子どもたちが安心してリラックスできる、まさに「リビン
グルーム」のような空間が広がっています。「自分で選んで自分で決める」生徒たちの活動の様子が壁一面に貼られていました。高橋校長が基調講演でなさった修学旅行の話。2人の6年生がまず旅行先を選び、引率の先生を面接で決めたとのこと。面接官の生徒と面接される先生の様子がスライドに映され思わず笑ってしまいました。ここは本当に「やってみたいが何でもできる」学校のようです。

分科会では、福島県、大分県、東京都で学校づくり、仕組みづくりに関わっている方々の話をお聞きしました。それぞれ立場は違えど、目指すところは子どもたち誰もが受け入れられ伸び伸びと学べる教育の場づくり。そのために子どもと先生、保護者、地域を繋ぐ役割を担ったり、学校選択制導入の仕組みづくり、公教育にイエナプランの要素を盛り込む試みなど、試行錯誤を繰り返しながらも多様な取り組みがなされていることを改めて知りました。
イエナプランがオルタナティブ教育と呼ばれず、日本の教育の中にしっかりと息づく日が来るかもしれないと思えた一日でした。(岡田承子)

2019年4月、長野県佐久穂町の大日向小が日本初のイエナプラン校として開校し、2022年4月には広島県福山市で公立の小学校「常石ともに学園」も誕生しました。イエナプランへの関心が高まっている理由は、一人ひとりの違いを尊重し、対話と協働を軸に組み立てられた学びが、現在の教育課題解決へのひとつの手がかりになると評価されているからです。
今回の全国大会では、これまでのイエナプラン入門説明中心から、探究や自己調整学習など具体的実践の共有へと重心が移り、「どう公教育に取り込むか」も大きなテーマのひとつでした。
一般の学校でも、イエナプランという看板にこだわらず、イエナプランの要素を取り込むことから小さく始める地道な広が
りが、日本の学校をしなやかに変えていくのではないか。大会を振り返りそんな希望と期待を強く感じました。(高橋利直)

仙台市太白区坪沼にある学びの多様化学校「ろりぽっぷ小学校」にて、第10回日本イエナプラン教育全国大会が開催。教師、保護者、教育関係者、議員など全国から総勢100名が参加しました。
2025全国大会_分科会
他にも、ともに生きる社会、ともにつくる学校をテーマに
熱量あふれる分科会が繰り広げられました。
ほんの木のほんの木 ロゴ 通販サイト「自然なくらし」では、出版物のほか、「自然なくらし」をテーマに、オリジナルの漢方入浴剤「あったか美人」をはじめとするオーガニック製品や健康商品の販売イエナプラン教育のオンライン講座の受講申し込みも承っています。是非お立ち寄りください!こちらから>>