#09 自然治癒力を引き出す東洋の知恵

ホリスティックな視点の重要性:アーユルヴェーダと中医学

川村さん:
私たちは、例えばつぼ療法でも、頭が痛いから、肩こりだからと、非常に末梢的なところで捉えすぎて、全体に及ぼす影響をあまり考えない傾向があります。
それは良くも悪くも、現代医学の傾向として、頭が痛いから頭痛薬を飲む、けがをしたから傷薬を塗るといった、ある意味、些末な対症療法に終始し、やり過ごしているのではないでしょうか。
局所的に痛いところ、欠落したところを埋めることが治療という概念になっているように感じます。
しかし、そうではなく、なぜ肩が痛いのか、なぜ頭が痛いのかという根本的な原因をサポートしていくための方法として、東洋的な考え方、あるいは西洋的な考え方での代替医療の本質があるのではないでしょうか。

高橋さん:
私も話しながら色々なことを思い出してきましたが、この号では、巻頭で「アーユルヴェーダ」と「中医学」という代替療法の特集を、細かく取材しました。
今、川村さんがおっしゃられたことがまさにその話で、体のプロセスの中で、今起こっている出来事の原因は何かという話を、代替療法の論理的な考え方から優しく説明したのが、この2つの特集です。
一見、違うように見えますが、説明してある内容は本質的に同じです。
「アーユルヴェーダ」と「中医学」、それぞれの視点から、違う言葉で説明しているので、ご自身にしっくりくる言葉の方で見ていただくのが分かりやすいかと思います。

川村さん:
そうしますと、その中で書かれている、幡井勉先生の「アーユルヴェーダ治療の現場から」という記事は、排泄や浄化が基本であることや、具体的な治療法やオイルマッサージの方法などが書かれていて、非常に専門的ですね。

高橋さん:
これはとても専門的な話で、入門書の中でここまで情報開示されているものは、他にないと思います。

川村さん:
すごいですね。

高橋さん:
そのアーユルヴェーダの記事の1つ前に、上馬塲和夫先生の「やさしいアーユルヴェーダ入門」が8ページから掲載されています。
これがまず概要で、ここに、病気や不調が起こる根本的な原因が書かれていると言えるでしょう。

川村さん:
この第9号、東洋編に関して言うと、この「やさしいアーユルヴェーダ入門」が肝心な部分なのですね。

高橋さん:
そうですね。
それから、24ページからの関口善太先生の「人を全体的(ホリスティック)にみる中医学」も重要です。

川村さん:
ホリスティックというのは、全体的にという意味ですね。

高橋さん:
ホールフーズという言葉がありますが、食べ物も部分的な栄養素(例えばビタミン)だけを見るのではなく、果物なら果物全体、野菜なら野菜全体を見るという考え方です。
そういった「ホール(全体)」と「ホリスティック」は同じ語源だと考えます。

川村さん:
考えてみれば、ビタミンCやビタミンAなど、例えばニンジンにはビタミンAが多く、オレンジにはビタミンCが多いと、私たちは果物全体を見るのではなく、栄養素として見た時に、非常に短絡的に見ている感じがしますね。

高橋さん:
いわゆる一対一対応といいますか、全体ではなく、その部分の主となるものだけを取り出して見てしまっているということです。

現代社会の傾向と代替医療の役割

川村さん:
ある意味、これは現代人の「コストパフォーマンス」や「タイムパフォーマンス」といった、物事を非常に短絡的にして、無理やり分かりやすくして飲み込んでいる、そんな気もしないでもないですね。

高橋さん:
今の世の中自体が、全体から細分化されてしまっています。
そこに効率やスピードを求めていくという世の中に対して、代替療法がやっていることは、まさしく逆行しています。
もっと全体にもう一度戻って、慌てず、焦らずいきましょうという、そういうものが含まれています。

川村さん:
一旦立ち止まって、一息ついて、じっくり全体を見てから次の行動を考えましょうという意味では、第8号、第9号は非常に重要な参考書でもあるということですね。

高橋さん:
ページ数に限りがあるので、すべてを網羅できていませんが、エッセンスは入っています。
そこからさらに、ご自身に合った代替療法を見つけて、深めていただければと思います。

まとめ

川村さん:
今日は、私の抽象的な話から、より具体的に、第8号、第9号を含めて何が肝心なのかということを編集長とお話しする中で、深く納得できました。
本当にありがとうございます。

高橋さん:
写真やイラスト付きで80ページほどですので、ぜひ一読していただき、皆さんにふさわしい代替療法を見つけていただければと思います。

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川村さん:
高橋編集長、今日は本当にありがとうございました。

高橋さん:
こちらこそありがとうございました。


※雑誌「ナチュラル&オルタナティブ ヘルスブック」は2007年から2009年にかけて出版されたものです。そのため、記事の内容は当時の状況に基づいています。

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