#11 癌治療の最前線:標準治療と代替医療の間で

「代替医療」という言葉の変遷と、本来の意味

高橋さん:
おっしゃる通りだと思います。
補足させていただくと、「代替医療」という言葉ですが、元々は英語で「オルタナティブ・メディスン」と言います。
このシリーズを始める前に資料を探したり専門家に聞いたりした際には、当時は「補完医療」という言葉が使われていました。
つまり、現代医療や西洋医療では治りにくい病気などを対象に、漢方、ヨガ、太極拳など、医学とは少し違うものを使って治療できないかというアプローチで議論されていました。
しかし、いつの間にか「代替」という言葉に変わってしまいました。
「代替」というと、例えば「代替エネルギー」のように、本来のベースとなるものに取って代わるもの、というニュアンスがあり、補完という言葉とは少し意味合いが変わってきてしまいました。
本質とは少し違う、応急的なおまけのような言葉として捉えられてしまった時期も、一部の医療界ではあったようです。

川村さん:
確かに、「オルタナティブ」の翻訳として「代替」という言葉が使われていることには、私も違和感を覚えます。
おまけではないですよね。

高橋さん:
この話を進めると、市民の権利という大きな話に飛んでいってしまいますので、また別の機会にしたいと思います。

情報過多の時代に必要な「判断する力」

川村さん:
編集長が十数年前にこれだけの大きなお仕事をされましたが、いわゆる代替医療の世界は、当時考えていたものと現在のものと比べて、目指すべきところに至っているのかどうか、今の現状を伺ってこのやり取りを終えたいと思います。

高橋さん:
私もこれを出した当初から15年ほど経ち、ある意味、高齢に近づき、体の衰えも感じています。
周りの友人や医療関係の方々と話していると、選択肢は多様に出てきているという事実はあると思います。
しかし、情報が多すぎて、一個人の判断では処理しきれないほどです。
より良い情報が他にあるのではないかと探し続けても、また別の問題を引き起こす可能性があります。
がんに限らず、病気のことに関して何かあった場合には、地域的な情報量の問題はもちろんありますが、まずは身の回りの情報で、どう自分で処理するかという「判断する力」をきちんと身につけることが近道なのではないでしょうか。

川村さん:
それは難しいかもしれませんね。
道具がたくさんあっても、どう使っていいのか分からないという状況はあります。

高橋さん:
意外に自分の足元にあるものが見えていなかったけれど、それが適切だったりすることもあります。
あるいは、難しいことばかり追求して、本当に基本的なところをないがしろにすることもあるかもしれません。
もう一つ別の言葉で言うならば、「事実」と「解釈」を混同しない方が良いと考えます。
何か困ったことに直面したとき、そこにある事実は何か、そして自分の思考や解釈は何か、ということを区別し、どちらをどういう判断で進めていくかを考えることで、思わぬ解決策が出てきたりすることが、私の経験からはあります。

自ら考える旅へ:「人はなぜ病気になるのか」

高橋さん:
すみません、何も結論めいたことになっていないんですが、この第11号に関して、まずこのお医者さん、9人の方は、本当にそれぞれ立場によって、苦悩されていると思います。
医師として、医師でやるべきこと以外のことを含めて、包括的に患者さんに向かって、医療を何かしらの形で助言しようと言われている方ばかりなので、ぜひ関心のある方は読んでいただいて、さらにこの上で、第1号の「人はなぜ病気になるのか」の巻頭ページを読んでいただくと、恐らくそこからご自身の方向が見えてくる、あるいは「もやもや感」が見えてくると思います。

川村さん:
第1号から第11号にわたり、とても刺激的でおもしろいお話をたくさん伺うことができました。

高橋さん:
こちらこそ、いろいろとお話を聞いていただき、ありがとうございました。

川村さん:
第11号に関しては、また主なところをPDFでリンクを張っていきますので、興味のある方はぜひご覧頂ければと思います。

「ナチュラル&オルタネイティブ・ヘルスブック」11号ダウンロード

高橋さん:
ありがとうございました。

川村さん:
編集長、本当にありがとうございました。

高橋さん:
また機会がありましたらよろしくお願いいたします。

川村さん:
ぜひまたよろしくお願いします。
お疲れ様でした。

高橋さん:
どうもありがとうございました。


※雑誌「ナチュラル&オルタナティブ ヘルスブック」は2007年から2009年にかけて出版されたものです。そのため、記事の内容は当時の状況に基づいています。

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