#07 体の声に耳を澄ます:癒しの力と健康への道

病気は気づきを与えてくれるサイン

高橋さん:
そうですね。
先ほどの「病とは何か」という話に少し戻りますが、結論から言うと、結局、「病気というのは治すべきものなのか」ということにもつながると考えます。
もちろん、苦痛を取り除いて元の状態にするという意味では、病気はできるだけ早く治した方が良いという見方もあります。

しかし、安保先生や上野先生、あるいはこの本に出ている帯津先生の話にも共通するところがあると思いますが、ある状態、例えばもっと極限の状態になることを、ある病気という症状や現象によって気づかせてくれている、とその症状を捉えることもできるのではないでしょうか。
それを気づかずに、無理やりその症状をなくしてしまうと、本当にその奥に隠れている問題、人間の本質的な問題を見過ごしてしまう可能性があります。
これは病気の重篤さとは少し違うかもしれませんが、生き方にとって本質的な問題に気づかせるために、ある症状が起きている、と捉えることも一つ大切なことなのではないか、というのが、大局的に読んでほしいメッセージです。

川村さん:
そうですね。
そこが一番大事なのだろうな、というのは、読み進めるうちに薄々感じていました。
今、編集長がおっしゃった、体内の異変に気づいて病気を治す、ということももちろん大事かもしれませんが、その病に至っている今の現状が何なのか、病を通して、極端な言い方をすれば、自分の今までの過ごし方の間違いのようなものに気づく、ということが、実はすごく大事なことなのかもしれませんね。

可視化できない不調と向き合う

高橋さん:
今、過ごし方における自分への負荷のかけ方のようなお話をされましたが、そこが結局、可視化できるもの、例えば走っていて転んで膝をすりむいて血が出たとか、人混みで押されて手をついたら骨折したとか、そういう明らかに原因が見えているものによる症状と、あるいは日常的な生活の中で出てきて、何だか心当たりはない、可視化できるものはないけれども、体が不調である、というようなものがあります。
後者の場合、どうしても何か可視化したくなる、あるいは可視化して元となる原因を明確にし、その原因を取り除く、という方法がいわゆる西洋医学的な治療法だと考えます。

しかし、そこがないからこそ、分からないからこそ、原因不明の発熱をしたり、頭痛をしたりするわけです。
そこのところは、無理やり原因を暴き出す、突き止めるということよりも、もう少し日常の中においての客観的な自分を見る目のようなものを持っていくと、そこから何かもう一つ別の新たな気づきが見えてくることもあると考えます。
やはり、習慣化したものを意思で変えるというのは難しいことです。
それを意思で変えるには、やはり自分自身がそのことに気づいていかないといけません。
ただ、気づくためには、例えば検査をしてその検査値がプラスかマイナスかで判断する、というような定量的な数値的なもので見ることもできないわけです。
定量的な数値的なもので見れない部分を養うにはどうしたらよいか、というヒントがこの本にも書かれていると思います。

川村さん:
今の編集長のお話を伺うと、いわゆる定量的な数値で見る力よりも、タイトルにある「聞く力」、自分の体の異変というか、微妙な変化のようなものを「聞き取る力」のようなものが、むしろ大事なのかな、というふうにも聞こえましたが。

高橋さん:
そうですね。
少し思いつきの言葉ですが、別の言葉で表現すると、「自分との対話力」ですね。

一言で言ってしまうと、それは一体何か、それだけでもまたテーマとしては重いのですが。

川村さん:
なるほど。
今、「自分との対話」という編集長の言葉で、私も少し腑に落ちた気がします。
そのための、自分との対話力を高めるための参考として、こういう局面やこういうことに気をつけながら取り組むと良い、ということが、この第7号にまとめられている、ということなのでしょうか。

大切なのは「自分との対話力」

高橋さん:
そうですね。
もう少しその言葉を補完してお話しするならば、少し誤解があるかもしれませんが、自分との対話力を高める、深めるには、知識は必要ないのではないか、ということです。
では、何が必要なのか、というところは、もしよろしければこの本を読みながら、それぞれご自身で考えていただくのがよろしいかと思います。
そこには解がないと考えます。

川村さん:
これが、私が最初に申し上げた「迷ってしまう」というのは、そういうところなのですね。

高橋さん:
そうやって見ると、万人に共通する解がないので、タイトルがつけられなかった、ということになるのではないでしょうか。

川村さん:
非常に何か納得感があるお答えをいただきました。

高橋さん:
そうですね。「聞く」という言葉、これも私もさっき「治す、癒やす」という力です、とお話ししましたが、大事な言葉を抜かしていました。
ですから、たぶん、もう自分に聞くしかない、体に聞くしかないのです。

川村さん:
ぜひ、皆さんにも、今、編集長と色々やり取りさせていただきましたが、まさしく読まないと、今のこともなかなか腑に落ちない部分だと思います。
この会話を通して、またいつものように、この「ナチュラル・オルタ」第7号の「体に聞く、直す力、癒す力」、ぜひ読んでほしいと思います。

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高橋さん:
副題としては『しのびよる「病い」を予防する方法』ですね。

川村さん:
では、また次回、続けさせていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
今日はありがとうございました。

高橋さん:
どうもありがとうございました。


※雑誌「ナチュラル&オルタナティブ ヘルスブック」は2007年から2009年にかけて出版されたものです。そのため、記事の内容は当時の状況に基づいています。

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