第8話 大好きな作家の時間(リレーエッセイ)

 私は今4年生の担任をしている。私が働く学校はちょっと変わった学校で、イベントも多く、時間に対してカリキュラムの内容も濃い。本当に濃い。だから、私はいつもちょっと焦りながら授業をしている。
 そんな忙しい日々の中で、私の好きな時間は「作家の時間」だ。
 「作家の時間」とは、アメリカで行われているライティングワークショップを日本に合うようにアレンジしたものだ。子どもたちは、ミニレッスンの中で文章を書くためのスキルを学び、自分の創造力を活かして文章を「書くこと」を楽しんでいる。

 子どもたちが書いている物語や説明文は本当に個性豊かでおもしろい。
「心が読める男の話」
「海を冒険する猫の話」
「翼が生える少女の話」
「大好きな飛行機の話」などなど…

 独特の世界観や展開に、思わず「プププっ」と吹き出してしまうこともある。1人1人の人柄が文章に現れていて、「ああ、本当にこの子らしい、素敵な表現だな〜」と、心がほくほくしてくる。子どもたちが書いた作品を同僚の先生と共有して「ああ、この子らしいね」と笑い合える瞬間も、私にとっては「作家の時間」の楽しみの1つとなっている。

 子どもたちも作家の時間が大好きなようで、
「作家ノート持って帰って続き書いてくる!」
「冬休み中も書いていい?」という子もいる。

 そんな作家の時間で私が大切にしていることは、「自分にとって一番学びやすい方法や環境を見つけること」。もちろん、作家の時間以外にも常にこのことを意識している。作家の時間の場合は、「自分が一番集中して書ける場所はどこかな?」「音楽がある方がいい? それともない方がいい?」など「書くこと」にフォーカスして、子どもたちに最適な学習環境を探すように声かけをしている。

 狭い教室の中ではあるが、子どもたちは思い思いの場所で書くことに取り組んでいる。自分のロッカーの中に顔を突っ込んで書いてみたり、立ちながら書いてみたり、つい立てを作ってみたりと、それぞれに工夫している。

「あ〜、いい場所見つけた。よかった」と嬉しそうに呟く子の姿に、私も嬉しくなる。
 そして、20〜40分の「ひたすら書く時間」での子どもたちの集中力は目を見張るものがある。子どもたちが没頭している瞬間は教室の空気が心地よい静けさに包まれる
「あ、今みんな夢中になってるな」
というのが、空気感で伝わってくる。

そんな瞬間が、私はたまらなく大好きだ。

 もちろん、全員が完璧に集中できている訳ではなく、「話を考えているときに集中力が切れちゃった」と素直にいう子もいる。たとえ集中力が切れたとしても、友だちの邪魔にならないようにと配慮できているところは偉い。作品をみんなで読み合う時間も子どもたちが楽しみにしている瞬間だ。みんなの前で自分の作品を読みたい子がたくさんいるときは、あえてシェアタイムを1分に区切る。

すると話が途中で終わってしまい、
「えええ!!いいところだったのに〜!!!」
「続きが気になる〜!!!」
と言って休み時間に友だちの作品の続きを読みはじめる子が出てくる。

こういう雰囲気いいな。

 学校で働き始めて、制限が多く窮屈さを感じることがたくさんあった。正直、言いたくないこともやりたくないこともたくさんやってきた。でも、子どもたちが夢中になって学びを楽しんでいる姿を見ると、救われる気持ちになる。限られた時間の中ではあるが、これからも子どもたちが「夢中になれる時間」を大切にしていこう。(まゆちゃん)

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