第7話 輪番ストーリー(ヒュバート・ウィンタース)

 イエナプランスクールでは毎日何回かサークルになって話し合う。ただお互いに漫然とおしゃべりをするためではなく、いつも何かの目的を持ってそこに集まる。
 日によってとても和気あいあいとした雰囲気となり、みんなが一丸となって、それぞれの持ち味が十分に見え、気分が一致して、いたずら仲間の一団のように見えることすらある!
 こういう日は子どもたちの独創性が存分に発揮される日でもある。よし、ファミリーグループの物語を作ろう、輪番ストーリーをみんなでやろう、、、。

 輪番ストーリーとは、まず、ファミリーグループリーダーが物語の最初の一文を作る。そして隣に座っている子が次の文を、その隣の子が三つ目の文を作る。そんな風にして、サークルを順に回りながら、物語が集結するまで、順番に一文ずつ足しながら即興で物語を作っていくのだ。

 私の最初の文は、いつも物語が展開される時代を示すものだった。たとえば、「昔々、まだお城に騎士たちが住んでいた頃のこと、ローデリックという名の騎士が遠くの塔の上の部屋から周りを見渡していました」という具合だ。
 最初の文は物語の舞台になる場所を表すものでもいい。たとえば「暗い暗い森の中のあるところにそれは変わった家族が暮らしていました」という風に。
 他には、物語の主人公から始めるというやり方もある。「エリックは冒険好きの少年ですが、今日はきっととても冒険に富んだ1日になるぞ、と感じていました」

 サークルに座っている子どもたちは、早くも自分の文を付け足したくてうずうずしている。でも、私たちはちゃんと順番を守って一人、また一人と順番通りに文を足していく。
 時々、誰かが話の流れをうまく変えてくれる。たとえば「ローデリックは、そのアイデアはやっぱりよくなさそうだと思い直して引き返すことにしました」という具合だ。
 また、子どもたちの中には、必ず、物語に緊迫感を加えるようなことを思いつく子がいるものだ。「そこ、その大きな樫の木の後ろには魔法使いが立っていたのでした、、、」

 グループリーダーである私は、子どもたちが一文ずつ加えていく物語をノートに書き留めておく。そして、その日の後で、または翌日などに、みんなで作った物語をコピーして全員に渡したり、デジボードに書いてみんなが読めるようにしたりした。
 それから、その物語について、または長い場合にはその中の一部について、みんなで話し合う。グループの子どもたち全員と一緒に、物語の文をみんなで一緒により良いものに推敲していくのだ。このようにすることで、その物語は、さらに一層子どもたち自身のものになっていくのだ。お話を文章にする素晴らしい練習の機会になるのだ!

 物語がすっかり完成したら、私はそれを短い部分に切り分けていく。同時に、グループの子どもたちを、文章を切り分けた数と同じ小グループに分ける。それをもとに、今度は、みんなで漫画本を作るのだ。
 わたしたちは、事前にどんなスタイルにするかを話し合って決めておき、あとで読み手が、みんなの共同制作であることがわかるようにしておく。何か約束事を決めるのかって? いやそうではない。約束事を決めるというよりも、スタイルを決めておいて、その度にいろいろな方法を使って漫画の本を作るという感じだ。

 そうしておいて、どの子も一枚ずつ紙をもらい漫画作りを始める。子どもたちは時々他の子の様子を見にいって、スタイルを合わせるようにする。
「ねえ、お城はどんな形にした?」
「ローデリックや真っ暗な森や魔法使いはどんな風に描いたの?」
 これこそ正に究極の協働だ。みんな、いっしょに素晴らしい漫画の本を作るぞと意気込んでいる。

 印刷技術を使えばできた本をみんなに一枚ずつ配ることもできる。他のクラスにも一枚ずつ、学校の図書室用にも一枚。
 わたしたちみんなが心から自慢できる本の誕生だ!(続く)

イエナプラン 共に生きることを学ぶ学校
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共に生きることを学ぶ学校」

 

 

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フレーク・フェルトハウズ、 ヒュバート・ウィンタース 著 リヒテルズ 直子 訳

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