第7話 責任は誰に(リーン・ファンデンヒューヴェル)

前回の記事で、私は、シチズンシップについて、また、子どもたちが民主的態度を養うことの大切さについて書いた。こうしたことは、子どもたちがまだ小さいうちからすでに始められるし、また、早く始めるに越したことはない。学校は、それを行う上で最適な場であるとも言える。学校は、子どもたちが、どうすれば責任ある仲間市民として行動できるようになるかを学ぶための場所、いわば、実験場のようなものでなければならない。そして、学校は、失敗が許される場でもあり、人は失敗からこそたくさん学ぶことができる!

ただ、そのためには、私たちも子どもたちにゆとりを与える必要がある。「子どもたちにゆとりを与える」とはどういうことかというと、それは子どもたちを「少し手放してみる」ことを意味している。「自分で勝手にしなさい」という意味での「手放し」ではなく、子どもたちに十分なゆとりを与えることで、何らかの経験を自分ですることができ、同時に、必要な時には子どもの方から助けを求められる安心感がある場を設けるという意味だ。つまり、大人は、そこに、子どもたちのためにいなければならない。

子どもたちは、最初は、小さいステップを踏みながら、自分で責任を持って行動することを学ぶ。子どもたちが、ステップごとに、目標意識を持って関わることが重要だ。

以下に、子どもたちが責任ある行動ができるようになるために、学ばなければならない7つのスキルを示した。

こういうスキルについての表現は、子どもたちにとっては、時々抽象的で理解しにくいことがある。だから、それぞれのスキルについては、子どもたちにも理解できるような言葉や、子どもたちが自分で到達できると思えるような目標を示すのがよい。子どもに自分でもできそうな目標を示すことによって、子どもたちを(*失敗ではなく)成功に導くことができる。

(以下の各項目は、子どもたちにもわかる言葉で表現し直したものだが、オランダ語からの直訳ではまだ分かりにくいので、日本の教室で使えそうな表現を訳者が青地で挿入した)

学習に必要な道具を自分で取り出し、片付けることができる

●私は、何か道具を取り出す前に、自分が必要なものは何かと考えることができる

(何か取りに行く前に、何が必要かをまず考えましょう)

●私は、自分が必要なものがどこにあるかを知っている

(あなたが必要なものはどこにありますか)

●私は、何でも自分で取り出し、片付けることができる

(必要なものは自分で取り出していいですよ。でも必ず元の場所に返しておきましょうね)

●私は、自分の学びのために何を使うかを自分で選ぶことができる

(何かの学びのために必要なものは、自分で選んで決めていいですよ)

何かをする時、なぜ自分がそれをするのかを説明できる

●私は、自分が何らかの選択をする時、なぜそういう選択をするのかを言葉にして言える

(なぜあなたはそれ(そういうやり方)を選んだのですか)

何かをしなかった時、なぜ自分がそれをしなかったのかを説明できる

●私は、自分がなぜ他のものを選んだのかの理由を言葉にして言える

(なぜあなたは、これではなくそれを選んだのですか)

●私は、自分が取った選択の結果がどうなるかを見通している

(あなたがこれを選ぶと、どんな結果になるか予想できますか)

●私は、自分の選択に対して責任を感じている

(自分で選んだことは、きちんとやり遂げ、その結果にも自分で責任を持ちましょう)

ルールは何のためにあるのか説明できる

●私は、なぜお互いに約束事を決めていなければならないかの理由を理解している

(私たちは、なぜお互いにみんなで約束事を決めておくのですか)

●私は、どんな約束事があるかを知っている

(私たちが決めた約束事を覚えていますか)

●私は、私たちがなぜそういう約束事を決めたのかの理由を説明できる

(なぜこの約束をしていたのか、説明してくれますか)

●私は、約束事を守る上で何らかの助けが必要な時には、助けを求める

(自分一人で約束を守ることができない時には誰に助けてもらえばいいですか)

●私は、他の人が約束を守るのを助ける

(誰かがみんなで決めた約束を守れない時には助けてあげましょう)

自分が何に取り組んでいるのかを言葉にして言える

●私は、自分が何をしたのかを言葉にして言える

(自分が何をしたのか説明してください)

●私は、自分が今何を学んでいるのかを言葉にして言える

(今あなたは何を学ぼうとしているのか説明してください)

●私は、自分が何かをする時、それがどんな理由によるのかを言葉にして言える。

(自分が何かする時、なぜそれをするのか説明できるようにしましょう)

●私は、私がしている仕事の目標を説明できる

(あなたがしている仕事の目標は何なのか説明してください)

●私は、自分の選択に対して責任を持つことができる

(自分で選んだことや方法には自分で責任を持ちましょう)

●私は、自分の仕事をどのようにみんなに発表するのかを知っている

(自分がやった仕事は責任を持って他の人にもわかるように発表しましょう)

自分で、誰かに必要な説明を求めることができる

●私は、自分の学びの要点を知っている

(あなたは今学んでいることのどこに注意をしておかなければいけませんか)

●私は、わからないことがあった時に誰に聞いたらよいかを知っている

(わからない時には誰に訊けばよいですか)

●私は、(躊躇することなく)自分から進んで助けを求めている

(助けが必要な時には、すぐに誰かに助けを求めていますか)


自分自身とグループ全体に対して注意深く関わることができる

●私は、誰か他の人から助けられなくても自分自身を大切にすることができる

(あなたは、他の人が助けてくれなくても自分を自分で守ることができますか)

●私は、自分の考えを自分らしくはっきり人にいうことができる

(あなたは、自分の考えを他の人にはっきり伝えていますか)

●私は他の子のパートナーになることができる

(あなたは、誰か他の人のパートナーになれますか)

●私は、グループの子どもたちみんなが安心していられるために責任があると感じている

(あなたは、このグループの中にいるみんなが安心していられるようにいつも注意していますか)

イエナプラン教育では、「責任を持つこと」は大切なエッセンスの一つだ。つまり、それは、子どもたちが、私たちの教育において学ばなければならない重要なスキルの一つだと考えている。この分野については、保護者と協力することが不可欠でもある。私たちが望んでいるのは、当然ながら、保護者も、家庭で、子どもたちの責任ということについてよく考え、子どもたちが責任を持つためのチャンスを与えるとともに、それについて、自分の子どもと対話をしてほしいと考えている。

現代社会においては、責任を持つとか、責任を取るといったことは、よく話題にのぼる。自分で責任を持ちたい、また、あえて責任を負いたいと考える人は歓迎される。

でも、、、ここで注意してほしい!大人である保護者は、自分が何でも責任を負おうとしてはいけない。私たちの子どもたちを育てていくうえで、大人が何でも自分で責任を取ろうとするのではなく、子どもたちが自分でも負える責任があるのだということを忘れないようにしておきたいものだ。

ドクター·スハエプマン·スクールでは、「責任」について、子どもたちにもわかる言葉でいくつかのステップをこんなポスターにしている。(続く)

イエナプラン 共に生きることを学ぶ学校
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フレーク・フェルトハウズ、 ヒュバート・ウィンタース 著 リヒテルズ 直子 訳

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