金沢シーサイドFMのラジオ番組「社長!あなたの〇〇教えてください。」(4月29日配信分)に、株式会社ほんの木 代表取締役社長の高橋利直がゲスト出演いたしました。
ナビゲーターの藍田隆希さんをお相手に、番組では「本と学びで生き方を問い直す出版社の挑戦に迫る!」として、弊社の創業ストーリーから今注目されている活動まで、たっぷり14分12秒にわたりご紹介いただいています。
音声はSpotifyでもお聴きいただけますが、今回はそのインタビュー内容を読みやすく編集してお届けします。
💡 インタビューのポイント
- 生活者の小さな疑問から本を作る「ほんの木」の原点
1986年のチェルノブイリ原発事故や、社長自身のパキスタンでの原体験から、効率優先ではなく「持続可能な社会」を目指して創業。日常の小さな問いを大切に本を作り続けています。 - 正解のない問いを楽しむ「てつがく対話」への想い
知識や経験の差(ハンディ)をなくし、子どもから大人まで誰でもフラットに言葉を交わせる環境づくりとして、今「てつがく対話(哲学対話)」の普及に力を入れています。 - これからは効率よりも「歩く速さ(アンダンテ)」で
これからの時代はスピードや大容量を追うのではなく、アナログな温かみを大切に、一人一人の読者と丁寧に向き合うモノづくりを目指していきます。
目次
生活者の小さな疑問から本を作る出版社
(※以下、敬称略)
藍田: 早速ですが、株式会社ほんの木がどんな会社か教えていただけますか?
高橋: 1986年に出版社として設立した会社です。出版と言ってもいろいろなテーマがあるのですが、生活者の目線で「あれ?これなんだろう」「どうしてこうなってるんだろう」というような小さな疑問を、皆さんの目線で解決していけるようなことをしたいと思って設立しました。
藍田: 創業から40年ほど経ちますが、これまでどれくらいの本を出版されてきたのですか?
高橋: 書籍でおよそ250から260アイテム。それと雑誌を4年近く刊行していました。
藍田: 本を作る流れとして、そのような「思い」を持った方からの持ち込み企画が多いのでしょうか?
高橋: 企画の持ち込みもありますが、それよりは私を含めたスタッフ、あるいはその周りにいる市民グループでの「こんな話、ちょっとおかしいんじゃない?」「これってどうなってるんだろう?」といった小さな疑問から本にしていくことが過去には多かったです。
藍田: 皆さんの日常の中のちょっとした疑問や、面白いことをお届けするような出版社なんですね。読者からの反響はいかがですか?
高橋: 「子育てが楽になった」とか、「健康面でそういうふうに考えることができて人生が楽しくなった」というような声をいただくこともあり、そういう声を聞くと励みになっています。
「明日お日さまが出なかったら?」正解のない問いを考える「てつがく対話」
藍田: 最近出した本で、高橋さん的に「これ面白かったな」というものはありますか?
高橋: 最近だと、「てつがく対話」というテーマをもっと日常的にできないかなということで出したものがあります。
藍田: 「てつがく対話」とは何ですか?
高橋: 学校で学ぶことというのは、知識を学んでそれに関して正解があり、それをさらに深掘りしていくことが多いと思うんです。でもそうではなく、例えば日常の中で「明日お日さまが出てこなかったらどんな風になる?」といった、いわゆる正解のないことに関して、みんなで色々と話ができるといいよねということで作ったテーマのものです。
藍田: 答えのないものって、各々の人生経験や性格などで十人十色ですよね。みんなで話すと新たな意見が生まれたりして面白そうです。
高橋: 意見を生み出すことも一つなんですが、十人十色の人が集まると、それまでの自分の経験や知識がどうしても前に出てきて、会話にハンディが生まれちゃうんですよね。なので、そのハンディが出ないテーマを会話にすると、子どもたちと大人が会話をしていても、そこに新たな発見が見えてくるんです。
藍田: 子育てや教育の面でも柔軟な思考力が育ちそうですね。
高橋: そうなんです。ただ、「思考力」という言葉をつけてしまうと、「ある・ない」で二極化してしまいますよね。それも排除するような形の対話なので、あえて私は「哲学的対話」という呼び方をして、誰でも、いつでも、どこでも、全く背景を知らない人同士でも、そこに数人いたら対話が成立する環境を作っていきたいと思っています。
藍田: めちゃくちゃ面白いですね。これも社内や周りのコミュニティの中で出た案が本になったということなんですね。
高橋: そうですね。ずっと教育関係のことも携わっていまして、そうしていくとやはり偏差値ですとか、知識や経験といったもの、そして教育格差をさらにたどっていくと経済的なものに行き着きます。そういうものに関して、私自身が「あれ?これどうして?」と思ったところから深掘りしていきました。
持続可能な社会を目指して。チェルノブイリ原発事故とパキスタンでの原体験
藍田: 素晴らしい本を数々出版されてきたと思いますが、そもそも創業のきっかけはどういったものだったんですか?
高橋: 1986年に創業したのですが、その年というのはチェルノブイリの原発事故があった年なんですね。世の中が技術や利益を追求していくことが、これから先いいのだろうかと。もう少し落ち着いて、効率優先ではなくても、持続可能な社会をどう作っていけるかな?というところからのスタートでした。
藍田: それで本の出版を始められたのですね。
高橋: 当初はメディアとして世の中に発信していくと考えていて、たまたま私のメンターとなる方が一緒に創業を手伝ってくれたのですが、メディア関係の方だったので、まずは本という形に枠を置いてスタートしました。
藍田: 世界や世の中に対して発信していきたいという気持ちからスタートして、40年続く会社は今もなかなかないと思います。当時、起業を決断したきっかけはあったのですか?
高橋: 私自身の小学校時代の体験に遡るのですが、実は私、小学校1年から3年までパキスタンのカラチというところで生活をしていました。父の仕事の関係での転勤だったのですが、現地の日本人小学校で学んでいたことや、時代から受けた影響も含めて、今の私を作っている源になったのかなと。半分後付けのところはあるんですが、それがきっかけなのは間違いないと思います。
目先を考えず、一つ一つを丁寧に。存続の秘訣は「目の前のことをやり抜く」こと
藍田: 多様な経験から起業されて、40年やっていく上で、経営において大切にしていたことはありますか?
高橋: 今、私60を過ぎていて、大学に他の方より2年長く通っていたため、少しスタートが遅れているのですが、そこから40年近く、50代中盤ぐらいまでは本当にがむしゃらに働いていました。自分自身で失ったものもあるかもしれないんですが、あまり目先を考えないで、目の前に来たものを一つ一つ丁寧にやりきる、やり抜くということだけで手一杯でした。
藍田: 目の前のこと一つ一つにちゃんと向き合ってやりきれたからこそ、40年も続く会社として存続されているのですね。
高橋: かっこいい言葉で言ってしまうとそうだと思うんですが、当時は一切そういうことを目論んでやっていたという意識は全くなく、もうへとへとになって、毎日帰ったらバタンキュー。一体何をしているのかなということすら考える余裕もなかったかもしれません。
これからは「歩く速さ」で、一人一人と向き合う
藍田: 今年で創業40年を迎えられましたが、この先はどんなビジョンを描かれていますか?
高橋: 40年間、社員が二桁になったことはなく、3人で初めて、ずっと4、5人ぐらいをキープして仕事をしてきました。ただ、本を作るにしても何か事を起こすにしても、それだけの人数ではとてもやりきれないので、周りに支えてくれる専門家の人たちがたくさんいて、そのネットワークがあったおかげで今の私があるというのが正直なところです。
藍田: 今後はどのような展開を考えていらっしゃいますか?
高橋: そういった方々とこれからやっていく中で、例えば本を一冊作ると、今は本屋さんの数も少なくなってきたので5000部までは刷れませんが、作って売って、さらに資金源にして新しい本を作ります。でも、たとえ3000部や1000部だとしても、どこで誰に読まれていたかがわからないんですよね。
これからのテーマとしては、一人一人と向き合って、今の私の思いを伝えたり、その方と一緒にまた何かを起こしていきたいと考えています。世の中で効率や大容量、スピードといった方向にいろんなものが動いている中で、音楽用語の「アンダンテ(歩く速さで)」という形で。効率よりはアナログ、デジタルよりはアナログ。そういった方向で世の中をもう1回、さらに見つめ直していきたいなと思っています。
藍田: いろんなものが進んで便利に、楽になった世の中だからこそ、以前の形を改めて見つめ直すことで、いろんな発見などもあると思います。今後のご活躍にも期待をしております。
「本物は何か」を突き止め、そこからスタートする
藍田: 最後に、リスナーの皆様にメッセージをお願いします。
高橋: デジタルとかスピードとか効率優先というよりも、まず何かを思い始めたら「本物は何か」を突き止める。そして、その本物に会うことからすべてをスタートする。それが今の私のこれからの社会への関わり方であり、そういうことをしていきたいと思っています。
藍田: 高橋さん、本日はありがとうございました。
高橋: どうもありがとうございました。
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