てつがくカードってどんなもの?

 なぜ今、子どもたちと哲学をするのか?

いまヨーロッパの国々では、小学校や幼稚園で哲学の授業が広がっています。学校は、教師が一方的に知識を教えるところから、子どもたち自身が自発的に考える力を身につけるところに変わりつつあります。

本来子どもは感受性豊かに物事を考えたり感じたりすることができますが、哲学をするうちに自分とは異なった見方や考え方をする周りの人の意見にも耳を傾け、共に考え、さらに自分の考えを深めていくことができるようになります。そして、自分の考えを整理し言葉にして伝えるコミュニケーション能力が育つのです。


 哲学する、でもどうやって?

子どもたちとの哲学はとても素敵です。難しいことではありません。哲学には正しい答えも間違った答えもありませんし、事前の知識もいりません。大切なのは自分の頭で考えることです。

まずは「てつがくおしゃべりカード」や「てつがく絵カード」を使いながら、問いを重ねてみてください。子どもたちの哲学的思考力が高まっていきます。

 「てつがくカード」に書かれているのはどんな問い?

「哲学的な問い」には4つの特徴があります。

  1. 本にも百科事典にもウィキペディアにも答えがないもの
  2. 大人も(知っていそうで)本当はよくわからないもの
  3. 意見を聞く問いではないこと(好き嫌い、賛成反対など)
  4. 科学的な知識を聞くものではないこと

「てつがくカード」には、真実・時間・友情・アイデア・平等・自由など、さまざまな哲学的テーマを引き出す問いが、可愛らしいイラストと共に書かれています。

「てつがくおしゃべりカード」は
どんなもの?


子どもたち同士、または子どもたちと大人とが一緒になって哲学するカードです。


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「てつがくおしゃべりカード」のあそびかた

「てつがくおしゃべりカード」の使い方


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ダウンロードも可能です。


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対象年齢:6歳以上
入っているもの:てつがくおしゃべりカード50枚、説明カード6枚
原作:ファビアン・ファンデルハム
イラスト:シンディ・ファンスヘンデル
日本語版プロモート及び訳:リヒテルズ 直子
価格 本体1800円(税別)

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「てつがく絵カード」は
どんなもの?


少し小さな子どもたちと哲学するための少し大きなサイズのカードです。大人の進行役が入ります。


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「てつがく絵カード」のあそびかた

「てつがく絵カード」の使い方


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「てつがく絵カード」のあそびかた

対象年齢:4歳以上
入っているもの:てつがくおしゃべりカード50枚、説明書
原作:ファビアン・ファンデルハム
イラスト:シンディ・ファンスヘンデル
日本語版プロモート及び訳:リヒテルズ 直子
価格 本体2500円(税別)

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「てつがくカード」の使い方のポイント

哲学には正解も不正解もありません。大切なのは自分の頭で考え、それを言葉にすることです。

<使い方>

  1. 10人くらいまでの人数で顔が見えるように円座になります。
  2. 進行役(リーダー)を決めます。
  3. カードの問いについて、名指ししたり順番にではなく自発的に、自由に自分の考えを発言します。
  4. 進行役は自分の意見は言わず、それぞれの考えを深めるように、カードに書かれた問いをヒントに問いかけながら進めます。

<大切なこと>

  • 他の人の意見は最後まできちんと聞くこと。
  • 大人は問いかけるだけで自分の考えや答えを言わないこと。

もっと知りたい方へ

考えを深めさせる問いカード

子どもたちと哲学する際、重ねて問いかけるのは会話を深めるのにとても良いことです。哲学には正しい答えも間違った答えもありませんが、子どもたちが答えをさらに立証しようとするのを見れるのは素晴らしいことです。問いを重ねていくのは初めは難しいので、考えを深めさせる問いのカードはきっと役に立ちます。こちらからダウンロードもできます。

このカードは切り取って厚紙に貼り付けたり、ラミネート加工することもできます。また、いろんなやり方でお使いいただけます。重ねたカードの中から一枚を抜き出し質問したり、会話を始める前に5つの問いを選んでおいて、これを必ず使うと決めて使うこともできます。会話に子どもたちをもっと巻き込むためにこのカードを使うこともできます。子どもたちに一枚ずつカードを渡しておいて、カードの問いが会話に関係があると思ったら手をあげさせるのも良いでしょう。

考えを深めさせる問い
考えを深めさせる問い
考えを深めさせる問い

「考えを深めさせる問い」
ダウンロード

訳者からのメッセージ

訪問中のオランダの小学校で偶然出くわした「てつがく授業」。4歳と5歳の子どもたち10人ほどを円座にして使っていたのがこのカードでした。先生は、写真を見せたり、絵を描かせるなどしながらカードの問いに沿って、子どもたちの言葉を確認していくだけです。そうしているうちに、大人にも思いつかない、本質をついた言葉が子どもたちの口から次々に現れてくる様子に、思わず涙がこみ上げるほど感動しました。

リヒテルズ 直子

九州大学大学院教育学研究科修士課程(比較教育学)及び博士課程(社会学)単位取得修了。1996年よりオランダ在住。オランダの教育及び社会についての研究を著作や論考で発表。2011年3月、JASよりイエナプランの普及に貢献した人に贈られるエイル賞を受賞。「一般社団法人日本イエナプラン教育協会」特別顧問。

原著者

オランダ人ファビアン・ファンデルハムさんが、この「てつがくおしゃべりカード」を作りました。ファビアンさんは児童書の作家であり、哲学者でもあります。また彼女は長年オランダの小学校で教師として詩や創作、子どもの哲学について、ワークショップを開いたり授業をしてきました。

ファビアンさんは、子どもと哲学をするために、また教師や親が哲学会話を始められるように多様な選択のできる教材をと、他の哲学者たちの監修や協力のもとに、このカードを開発しました。

子どものための50の哲学的問い「てつがくおしゃべりカード」は、ファビアンさんの初めての作品ですが、すぐに大評判となりました。2012年11月にはオランダ児童哲学センターから、ベリー・ヘーセン賞(優秀な哲学教材)を受賞しました。今ではオランダの小学校に広く普及して、多くの子どもたちがこのカードを使っています。 現在、オランダだけでなくベルギー、イギリスなどヨーロッパで、子どもたちを対象にした「てつがく授業」が広がっています。子どもたちが、カードの問いに対して自分の頭を使って独自のユニークな答えを見つけようとチャレンジしています。