分かち合うシェア社会を目指して

もうかるシェアビジネスからつながりを生み出すシェア社会へ。 「地域と市民の復権」という視点から新たな経済のしくみを考える。

経済成長という「大きなパイ」は待てど暮らせど配達されず、「小さなドーナツ」をみんなで共有する時代がやってきた。他人とシェア(共有)するのに非営利的な側面も持つシェアリングエコノミーは、資本主義社会に人と人との信頼関係を取り戻す可能性がある。

内容
社会運動 No.433
広がるシェアビジネス

「シェア」という言葉の本来の意味は「共用、分配」だ。だから「シェア経済」によって、人びとがモノや技能を「分かち合う社会」が
到来すると期待された。ところが現実に広がったのは、インターネットを使ってモノやサービスの仲介するニュービジネスだった。
特に有名なのが、民泊を仲介する「エアビーアンドビー(Airbnb)」と、一般人が自家用車を使って他人を運ぶ「ウーバー(Uber)」だ。

両社がアメリカのサンフランシスコで設立されたのはわずか10年前。スマートフォンで近くの車を呼んだり、民泊の予約が簡単に
できることから、またたく間に世界中に広がった。利用者にとっては「便利で安い」というメリットがある上、「共同で利用する」と聞くと
エコな感じもする。ウーバーは世界70カ国で展開し、売上高75億ドル。エアビーアンドビーは192カ国、売上高26億ドルにのぼる。

タクシー運転手の嘆き

でも、こうしたビジネスが「分かち合いの社会」をつくる可能性はあるのだろうか。
筆者が、昨年秋にニューヨークの協同組合を視察に行った時のこと。空港で乗ったタクシー運転手に、ウーバーの影響について
尋ねてみたら、「いまじゃ街中では7割の人がウーバーを利用するようになったよ。結局、タクシー利用者が激減したので、
俺も登録して利用者を探しているんだ。でもウーバーから受け取る報酬は安くてね」とため息をもらす。
結局、運転手と利用者が自動車をシェア(共用)しても、その利益はシェア(分配)されずウーバーだけがもうかる仕組みなのである。

分かち合うシェア社会を目指して

本号が紹介するのは、「分かち合う」ことを基本原理とする、様々な日本の活動である。「お金に縛られない生き方」を考えている方々に、
ぜひお読みいただきたい。
目次
特集 0円生活を楽しむ シェアする社会
●特集が始まる前にひとこと……

Ⅰ シェアする社会が意味すること
●FOR READERS もうかるシェアビジネスから、分かち合うシェア社会を目指して
●つながりを生み出す社会へ シェアコミュニティのすすめ
●シェアリングエコノミーと互酬の世界の仕組み
●シェアリングエコノミーのオルタナティブな可能性
●「地域と市民の復権」という視点から新たな経済を考える

Ⅱ 0円生活の楽しみ方あれやこれや
●服への「思い」を添えて交換する
●地域の人たちと楽しくゴミを減らす
●子どものオモチャ交換会がかえる世界
●自慢の庭で広がる地域を越えた出会い
●地域通貨がつくり出すお金に頼らない豊かさ
●0円生活が楽しめる路上コミュニティ
●次に来る人のためのお福わけ券
●高円寺から広がる0円経済圏
●SNS活用で不用品リサイクル
●お店をシェアして商店街を元気に
●農業を体験しながら0円生活の旅

連載
●韓国語翻訳家の日々 子育てはつづくよ 第6回
沖縄では不思議なことがたくさんあった
●悼みの列島 日本を語り伝える 第10回
近代の繁栄を支えた炭鉱、鉱山その光と影を訪ねて
著者について
三浦 展(カルチャースタディーズ研究所主宰)
鶴見 済(フリーライター)
宮崎 徹(市民セクター政策機構理事)
勝俣 誠(明治学院大学名誉教授)
xChange
くるくるひろば
かえっこ
こだいらオープンガーデン
藤野地域通貨よろづ屋
くにたち0円ショップ
カフェ潮の路
なんとかBAR
mixi 「あげますください東京都・全国」コミュニティ
neobar
WWOOFジャパン
斎藤 真理子(韓国語翻訳家・ライター)
室田 元美(ライター)
ISBN
978-4-7752-0115-2
出版年月日
2019年1月15日
判型・ページ数
A5判・180ページ
商品番号 20213

【433号】0円生活を楽しむ
シェアする社会

社会運動 No.433
市民セクター政策機構
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